和尚のつぶやき ⑦ ~出す~

先日、坐禅会に初めて来られた方にいつも通りの指導をしました。

 『合掌、叉手、隣位問訊、対坐問訊、坐蒲の前半分を使うようにお尻を乗せ、左の足を右の腿の上にのせ(半跏趺坐)出来なければあぐらでも結構です。手は法界定印右手下、左手上、親指同士を軽く合わせ収まるところに置きます。背筋をすっと伸ばし頭の先を天井に突き刺すイメージ、左右揺振、前後左右に身体を揺らし、やじろべえいになったイメージで中心を探します。やや後方気味が中心かと思います。中心が探れましたら、目線は斜め四十五度したに落とし、目は半眼に開きます。ぼやーっと襖や障子が見えている状態です。形が決まりましたら最後に呼吸です。欠気一息、ゆっくりゆっくり口から吐き、もうこれ以上吐けない処まで吐ききったところでお腹の力を緩めて頂きますと自然と鼻から口から息が入ってきます。その息を徐々にまた吐いていきます。吐くことに意識を置き、吸う事は自然に任せます。腹式呼吸です。この呼吸法で四十分間坐って頂きます。只管打坐、何も考えずに坐ります。頭の中に浮かんでくるものを追いかけず、自然と一体となるイメージで心落ち着けてお坐り下さい』

 毎回誰にも同じ言い回しでございます。その方に終わった後、感想を聞きますと「呼吸の事ばかり考えてますと四十分は速く感じました 吐くことに意識するのが新鮮でした」とおしゃられ、ハッと気付かされました。 坐禅は呼吸が大事ですよ。吸う事より吐くことが、息を出し切る事が大事ですよと言い続けてきましたが、自分自身いろんな物ため込んでは出し切れてないなあと。物質的な物であってはわかりやすいですが、今までの経験値や願望であったり、蓄えたものをなくしたくない、減らしたくない欲望であったり、それこそストレスであったり、なんとため込んでいる物が多いことか!! 断捨離という言葉がはやりましたが捨てるとはまたニュアンスが違うように思いますが、とにかく出したいものがいっぱいあるのに出す勇気がない! 

 息は出せば出すほど新しい空気が入ってきます。新たなもの取り入れるには自分に残っている何かを出さないといけないようです。