彼岸とは、昼と夜の時間が等分される「秋分の日」を中心にして前後三日間、併せて七日間を彼岸と定め、自分を見つめ直す日本独特の仏教文化としてとても大切な行事です。一週間心を落ち着け、ご先祖さまを偲び追善の供養を行い、感謝の気持ちで手を合わせることによって、自分の心を今一度しっかりしたところに置いてみましょう。
実りの秋を迎えます。善い種をまき、きちんと育てていけばやがて成長し実ります。 今この時に、一人一人が菩提の種をまき、世の中に幸せの実りを咲かせたいものです。
和尚のつぶやき ⑧ ~祝WBC優勝~
侍ジャパンWBC優勝の余韻もそろそろ落ち着いてきましたが、いまだに決勝のアメリカ戦九回大谷翔平選手の登板は目の前の現実を受け入れがたい夢物語の時間でした。ツーアウトになりトラウト選手を迎えフルカウント6球目高速スライダーで空振り三振ゲームセット! この瞬間をリアルタイムで立ち会えた事に感謝です。江夏の21球を思い出しましたが、野球でこれ以上のドラマティックな場面に出会えないと思います。 この夢のような場面が生まれたのも、大谷翔平選手というスーパースターが誕生したのも、新しい指導者(栗山監督)の登場お要因が大きいのでしょう。 従来の日本のプロ野球では二刀流を推奨する発想はなく、試合に勝つための確率野球が主流でファンをわくわくさせる事は二の次であったように思います。そんな概念をすべて打ち破っていただいたお陰で極上の感動を頂きました。ダルビッシュ有選手の献身的な若手選手の指導もクローズアップされました。今後あらゆるスポーツの指導者やベテラン選手の立ち振る舞いにかなり影響を与えることになるでしょう! 特にダルビッシュ有選手が『野球を楽しもう』とよく言われています。日本代表の世界大会レベルで超一流の選手からそういわれると、どれだけ他の選手は救われるでしょう。私自身中学・高校野球経験者ではありましたが当時もう40年前の部活野球部ではおそらく全国一律で軍隊式練習で野球を楽しむものではなく、精神的肉体的に鍛え上げるものでした。もう今まで自己の実績や威圧感で統制してきた指導者や先輩選手が減っていく事を願うばかりです。
ちまたでWBCあなたが選ぶMVPは?とよく見かけます。当然大谷翔平選手がまず1位なんでしょうが私が選ぶなら源田選手です。右手小指を骨折しギブスをつけながらもあの華麗な守備に安定の送球!投手に重きを置き野手がいささか手薄であった栗山ジャパンの隙を見事にカバーしてくれました。皆様は誰をMVPに選びますか? この話題で当分楽しめそうです。
栗山監督ありがとうございました。
春彼岸(はるひがん)
涅槃会(ねはんえ)
二月十五日はお釈迦様がお亡くなりになった日で「涅槃会」と言います。お釈迦様は『私の亡きあとは、私ではなく自分自身をより所として、また私が伝えた教えを、闇を照らす灯火として、歩んでゆきなさい』そして『もろもろの存在は変わりゆく。怠らず精進しなさい。』と最後の言葉を残されています。
お釈迦様は二十九才で出家し三十五才で悟りをひらき四十五年もの間、仏教の教えを説き続けられました。八十才の頃インドのクシナガラの地で涅槃(肉体を捨てた境地)お亡くなりになりました。
全国各地の寺院でお釈迦様の最期の様子を描いた「涅槃図」(お釈迦様が頭を北に向け、心臓のある左側を上にし、西を向いて横たわっている様子が描かれています)をかけて、そのご遺徳をしのびます。
和尚のつぶやき ⑦ ~出す~
先日、坐禅会に初めて来られた方にいつも通りの指導をしました。
『合掌、叉手、隣位問訊、対坐問訊、坐蒲の前半分を使うようにお尻を乗せ、左の足を右の腿の上にのせ(半跏趺坐)出来なければあぐらでも結構です。手は法界定印右手下、左手上、親指同士を軽く合わせ収まるところに置きます。背筋をすっと伸ばし頭の先を天井に突き刺すイメージ、左右揺振、前後左右に身体を揺らし、やじろべえいになったイメージで中心を探します。やや後方気味が中心かと思います。中心が探れましたら、目線は斜め四十五度したに落とし、目は半眼に開きます。ぼやーっと襖や障子が見えている状態です。形が決まりましたら最後に呼吸です。欠気一息、ゆっくりゆっくり口から吐き、もうこれ以上吐けない処まで吐ききったところでお腹の力を緩めて頂きますと自然と鼻から口から息が入ってきます。その息を徐々にまた吐いていきます。吐くことに意識を置き、吸う事は自然に任せます。腹式呼吸です。この呼吸法で四十分間坐って頂きます。只管打坐、何も考えずに坐ります。頭の中に浮かんでくるものを追いかけず、自然と一体となるイメージで心落ち着けてお坐り下さい』
毎回誰にも同じ言い回しでございます。その方に終わった後、感想を聞きますと「呼吸の事ばかり考えてますと四十分は速く感じました 吐くことに意識するのが新鮮でした」とおしゃられ、ハッと気付かされました。 坐禅は呼吸が大事ですよ。吸う事より吐くことが、息を出し切る事が大事ですよと言い続けてきましたが、自分自身いろんな物ため込んでは出し切れてないなあと。物質的な物であってはわかりやすいですが、今までの経験値や願望であったり、蓄えたものをなくしたくない、減らしたくない欲望であったり、それこそストレスであったり、なんとため込んでいる物が多いことか!! 断捨離という言葉がはやりましたが捨てるとはまたニュアンスが違うように思いますが、とにかく出したいものがいっぱいあるのに出す勇気がない!
息は出せば出すほど新しい空気が入ってきます。新たなもの取り入れるには自分に残っている何かを出さないといけないようです。
令和5年 謹賀新年
新年明けましておめでとうございます。新型コロナウイルス感染に振り回されて三年余り、今年こそ元来の日常が戻りますことを祈念致します。昨年末より『新時代』という言葉が世間を駆け巡っております。コロナ禍で今までの常識が変化し、新しい未来を求めているようです。 しかし皆様落ち着いて下さい。無理に流されないで下さい。我々の仏教は二千五百年前から 『諸行無常』常に変化する世の中に生かされていると説かれております。 ただ我々が変化していく事を受け入れにくいだけなのです。言ってみれば毎日が『新時代』の積み重ねです。ゆっくりと大切に一日、一日をかみしめながら過ごしていきましょう。
和尚のつぶやき ➅ ~成道会~
十二月八日は成道会(お釈迦様が悟りを開かれた日)です。 約二千五百年前、インド釈迦国の皇子として生まれたお釈迦様は二十九歳の時に人間が苦しむ四大原則(生・老・病・死)の苦しみからの脱出する道を求めて出家されました。厳しい苦行を続けること六年間、これでは真理が見いだせないと疲れ果てた処、村娘スジャータから乳粥の施しを受けます。体力を回復し身体を癒し、川で洗い清め菩提樹の下で坐禅を始めます。お釈迦様三十五歳の十二月八日早朝、明けの明星を眺めながら宇宙の真理ともいうべき「悟り」を得られたのです。
このことから仏教の教えが生まれた日を意味する成道会法要が宗派問わず全国各地で開催されます。
曹洞宗大本山永平寺では臘八摂心と言いまして十二月一日から~八日まで八日間にわたり早朝から深夜までの坐禅修行が行われます。曹洞宗寺院の一端としてこの時期身の引き締まる思いでございます。
早朝の金星を眺めた方は成道会の由来を思い出して下さい。お釈迦様も同じものを見ていたことを!
坐禅会 11月 日程変更のお知らせ
令和4年11月の坐禅会は近隣寺院様の晋山結制がありまして
第2日曜日 11月13日午前6時30分から行います。御迷惑をお掛け致しますがよろしくお願い申し上げます。12月は第3日曜日、18日です。
今月10月は明日16日(日)午前6時30分~でございます。
自性院 住職 原 弘昭 合掌
和尚のつぶやき ⑤ ~矢野監督お疲れ様~
本日、ヤクルト×阪神CSファイナルステージ第三戦は6-3でヤクルト勝利、日本シリーズ出場を決めました。 7回裏阪神3点リードからヤクルトの攻撃、1安打で5点を入れ逆転しました。しかもその安打は村上選手のボテボテ内野ゴロ、フォアボール、デットボール、エラーがあったにせよ、こんな5点の取られ方は中々見ません。まさに悪夢です。悪夢と言えば阪神の開幕戦の7点差からの逆転負け、相手はヤクルトでした。阪神にとって今季最後の試合になってしないましたが、最後も7点差負け以上に信じられない5点の取られ方の逆転負け。ヤクルト高津監督呪縛が解けないままシーズンが終わりました。この試合が矢野監督最後の試合となりました。何の因果があるのか解りませんが、あまりにも切なすぎる最初と最後の試合でした。どうぞ矢野監督、早く呪縛から時の放たれて次のステージに進んで下さい。先ずはゆっくり休んで下さい。お疲れ様でございました。
和尚のつぶやき ④ ~達磨忌~
10月5日は達磨大師の命日です。もう過ぎてしまいましたが・・・
ダルマと言うと起き上がり人形のだるまさんを思い浮かべる人が多いでしょうが、実在の人物です。六世紀初め南インドで国王の第三王子として生まれ、中国に渡り少林寺で壁に向かって、九年間坐禅を行い悟りを開かれました。
中国の武帝の王様と交わした有名な問答に、武帝『仏教の大切な真理とは何か』 達磨『廓然無聖(かくねんむしょう)真理という特別なものはありません』と答えられました。禅問答の難しい所ですが、その解釈は価値や分別などにとらわれない、広大無辺な心が大事なのです。という事だと聞いています。坐禅を実践して達磨大師の教えに触れてみましょう!!